脳に電球が灯った候

 

少し寝坊気味に起きた朝は、シトシトと雨が降っていた。

 

いつものように散歩を済ませ、
いつものように出社し、
いつものようにパソコンの電源を入れた。

 

今日はセミナーへ行く予定になっていたので11時05分のバスに乗る予定で動いていたのだが、なんと、コーヒーメーカーの電源が入っていない!

新しい事務所に置く予定の家具が先に届いてしまって
コーヒーメーカーの前は、万景峰号に積載される自転車のよう。

きっと事務のおばちゃんがたどり着けなかったのだろう。

温まるのに5分はかかる。
仕方がないので、メールの確認を優先するために座席につく。

乱雑に散らかった書類の山が目につく。

いつの間にか集中してしまった私は、
昨日から取り組んでいるSNSの設定に取り掛かってしまっていた。

幸い祝日ということもあり、会社の電話は静かに
まだ寝坊している。

 

そう言えば、祝日なので事務のおばちゃんが休みなのも
この時点で何となくは気がついていた。

 

しかし、10時を過ぎたところでチャットのアラートが鳴り止まなくなった。
発注していたSNSツールのテストの連絡が入ったのだ。

 

コーヒーのことをすっかり忘れていた僕は
レモングラスのアロマの匂いを感じながら
何というタイミングだろうと、チャットの対応をしていた。

 

そして気がつくと11時5分前。

 

大急ぎで上着を着てバス停へ向かった。

まだ、朝からの雨はシンシンと降っていたので、
躓いてころんだ時に持っていて折れかかった傘をもち
SNSの設定が終わっていないことにイライラしながら
駅へ向うためバス停へ走った。

 

竹芝へ向かう電車は、祝日のせいか席につくことは出来ず
読もうと思って持ってきた本を開くこともなかった。

SNSの設定が頭から離れることはなく
パソコンを開けないまでも、ずっとそのことが頭の中を巡っていた。

 

カフェのオープンが来月に控えているので
頭の中の3分の1はそのことで埋め尽くされている。

残りはキャンペーン、残りは事務所移転。

 

考えても考えても答えは出ないけど
考えずにはいられない。

信じられないほど、頭はそれらのことを考えているんだ!

 

気がつくと、いつの間にか竹芝桟橋に着いていた。

偶然、電車の中で出会った関沢さんと歩きながら
会場へ向かうと、ふと高校生の頃にここに立っていたことを思い出す。

 

あれは、高校1年生の夏休みだ。
八丈島へ向かうフェリーに乗るために、ここ竹芝桟橋に来ていた。

 

決して良い思い出ではなく、Amazonアカウントがサスペンドされるよりも
ずっと記憶に残る、戦慄。

 

あの時、友人カップルが夏休みを利用して八丈島へ旅行に行くという話に
何故か覚えていないが、私は便乗することになった。

そこで、友人が気を使って彼女の友人を誘ってくれることになった。

 

完全に浮かれた私は、ひと夏のアバンチュールを
毎日妄想しながら、当日を待った。

毎日がパーティーだった。

友人と友人の彼女に心の底から感謝した。

 

世界中が彼を嫌いになったとしても、僕は君を好きだ。

 

そう伝えていた。

 

そして当日、今日とは違い暑い夏の日。

 

「信じられないほど良い天気だな!」

 

と少し早めに着いた友人と私は、彼女と彼女の友人を待っていたんだ。

 

そもそも、相手を知らないのに旅行に行くなんて、
当時の私に叱咤したい。

 

彼女からは「かわいい」と聞いていた。

しかし、私はその時気がついていなかった。

 

 

女性の「友達かわいい」ほど信用出来ないものはない。

 

ということを。

 

彼女と彼女の友人と合流したあと
私の八丈島での2泊3日は、自宅に帰るまで

 

そう、最終電車で下北沢から谷塚に帰るほど長く
なぜタクシーで帰らなかったのかと電車の中で後悔する
あの感覚を持っていたと思う。

 

一刻も、一刻でも早く家に帰りたかった。

 

という

 

実に、思い出したくない記憶をすこし目にしみる海風が運んでくれた
天気も晴れない竹芝桟橋だった。

 

それにしても、あの女性がいう

 

私のともだちは「かわいい」というKOTOBA

 

 

あれは、なぜ起きるのだろうか。

 

120%以上の背伸びをしているに他ならない。

この「かわいい」というKOTOBAに被害を受けている男性は
決して私だけではないだろう。。。




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