
会社経営者
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会社を設立するに当たっては、様々な手続きがあり、様々な書類を用意する必要があります。
ただ大きく分けると、必要な手続きは以下の2つとなります。
①公証役場で定款の認証を受ける。
②法務局で登記申請を行う。
この2つの手続きを行う上で、決定すべきことや作成すべき書類、その他に用意するものなどがあります。早速見て行きましょう。
公証役場で定款の認証を受ける
定款を作成する
定款とは、会社の基本的な規則をまとめたものです。会社名や事業内容、本社の所在地など、会社を設立するに当たって必要となる事項となります。
定款に記載する項目は大きく分けると3つあります。

自分で作成するのが難しい!と思う人はすぐに司法書士の先生にお願いしたほうが良いです。時は金なりと言うことになりかねませんので。
絶対的記載事項
絶対的記載事項は、定款に必ず記載しなければならないと決められている事項です。
この記載がない定款は無効とされます。
絶対的記載事項の内容としては、以下の5つが挙げられます。
1.目的
会社が行う目的、つまり事業内容を記載します。逆に言うと、定款に記載されていない事業を行うことはできません。
設立時に行わない事業だとしても、将来的に行う可能性のある事業については、定款に記載しておくと良いでしょう。
目的の最後に「前各号に付帯または関連する一切の事業」と記載しておくと、目的に関連する事業を新たに始める際にも定款の変更が不要になります。
ちなみに、許認可を申請する際にもこの目的・事業内容が重要になります。定款に必要な事業内容が記載されていない場合、許認可の申請が却下されてしまうことがあります。
また目的に記載する事業を行うに当たって、許認可が必要かどうかは事前に確認しておいてください。

この目的は今後行うかもしれない事業内容は入れておいたほうが良いです。変更になった場合に、手数料3万円ほど取られてしまいますので。例えば僕のところでは「飲食業」を入れておいたおかげでカフェを出すときにもスムーズに行うことが出来ました。会社を設立するときにカフェを作るなんて想像も出来ませんでしたけどね(笑)
2.商号
商号というのは、会社名のことです。
株式会社を設立する場合は、商号に「株式会社」という文言を入れる必要があります。
前株か後株のどちらにするかは、好みで決めて構いません。
3.本店の所在地
次に本店の所在地を記載します。本店とは、いわゆる本社のことです。
注意点としては、住所表記には細かいルールがあり、「○○県○○市1-1-1」のように書いてしまうとNGとなり、正しくは「○○県○○市一丁目1番1号」と書く必要があります。
また自宅が賃貸の場合、法人不可の場合がありますので、賃貸契約書を確認しておくと良いでしょう。

出来るだけ変更がないほうがいいです。変更する場合には手数料が取られてしまいます。ですので、持ち家の方は家に、そうだ得ない方は仕方がないので会社近くで予算の限り探すしかないですね。
4.設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
この項目は少しややこしいですが、設立時に会社にあるお金や財産はいくらなのか、ということを記載します。
ただし、会社設立時点では出資するかどうか決まっていない人がいることがあります。もしくは出資することは決まっていても、いくら出資するかが決まっていないかもしれません。
つまり、会社設立時点では「資本金」は決定していないことがある、ということです。
しかし、会社設立時点で事業内容などは決まっているため、必要最低限いくらぐらい必要かということは決めることができます。
そのため、少なくとも最低このぐらいの金額は資本金にする、という金額を記載することになります。

つくろうと思えば資本金なしでも会社は設立出来ちゃいます。が、社会的信用というところでは、300万くらいはほしいところです。
5.発起人の氏名又は名称及び住所
株式会社を設立する時には、「発起人」が必要になります。
発起人とは、設立する会社に資本金を出資したり、会社設立の手続きを行う人のことです。(つまり発起人は、必然的に株主になります。)
ちなみに発起人は取締役(役員)とは異なります。取締役は会社の経営に携わる人であり、会社設立の手続きは必ずしも行いません。また株主である必要もありません。
発起人は会社の重要事項の決定も行いますので、取締役の選任も行います。発起人が取締役になることも可能です。
発起人になるための資格や制限は特にありません。未成年でも構いませんし、法人でも構いません。
ただし法人が発起人となる場合には、新しく設立する会社の発起人となることが発起人となる会社の目的の範囲内である必要があります。
つまり具体的には、発起人となる会社の目的の事業が、新会社の目的と同業種である必要があります。
また発起人の数にも制限はありません。
相対的記載事項
次に相対的記載事項ですが、相対的記載事項とは「定款に記載しなくても問題ないが、定款に記載しておかないと効力が認められない事項」のことです。
相対的記載事項には以下のようなものがあります。
●変態設立事項
・現物出資
・財産引受
・発起人の報酬
・設立費用
●株式の譲渡制限に関する規定
●取締役等の任期の伸長
●公告の方法
●取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、委員会、代表取締役の設置
●取締役会の招集通知期間の短縮
●株券発行の定め
任意的記載事項
最後に任意的記載事項ですが、任意的記載事項とは次のようなものです。
・絶対的記載事項と相対的記載事項に該当しないもの
・定款に記載しなくても定款自体の効力には影響しない。
・定款ではない別の文書で明確にすれば効力が認められる。
・違法性のない事項
つまり定款に記載してもしなくても良いということになりますが、定款に記載しておくことでより明確になります。
任意的記載事項としては主に次のようなものを記載します。
・事業年度
・取締役・監査役等の員数
・定時株主総会の消臭時期
・基準日
印鑑を作成する
会社設立の手続きを行うに当たり、会社の印鑑を作成します。
法人用の印鑑で作成しておくべき(作成したほうが良い)印鑑は3つあります。

一生使うものなのでしっかりとしたものを作りましょう!
代表者印
この中で作成が必須なのは代表者印です。代表者印は法人の実印です。
こちらは法務局での登記申請に必要になりますし、印鑑登録も行うことになります。
法律上では形状の定めは特にありませんが、大きさには規定があり「一辺が1cm~3cmの正方形内に収まるもの」と決められています。
一般的には直径18mm程度の丸い印鑑を使用することがほとんどで、通称「丸印」と呼ばれることもあります。
銀行印
設立完了後、法人の銀行口座を開設することになりますが、その際に必要になる印鑑です。また手形や小切手を振り出すことがあれば、その際にも使用します。
銀行印は経理・財務担当者が使用することが多いため、代表者印とは別に作成しておいたほうが良いでしょう。
社印
個人の場合でも実印と認印を分けて持つ場合がありますが、その認印に当たるものが社印となります。
通常、四角の印鑑を用いることが多いため、通称「角印」とも呼ばれます。
重要書類というほどでもない書類、例えば見積書や請求書・領収書などには社印を押印します。
その他
上記3つ以外に作成しておいたほうが良いものとして、住所や会社名などが記載されているゴム印があります。
今後、実に様々な書類を作成して行くことになりますが、会社住所・会社名・電話番号・代表者名などを記載することが多いため、それらのゴム印を作成しておくと重宝します。
公証役場で定款認証を受ける
作成した定款は、内容に不備がないかどうかをチェックされます。そのチェックと認証を行うところが、公証役場(公証人役場)となります。
定款の認証は、本店所在地を管轄する法務局に所属する公証人が行う必要があると定められています。(公証人法 第17条・第62条の2)
管轄区域外の公証人に定款を認証してもらっても無効となってしまうのでご注意ください。
定款認証の手数料
定款認証を受ける際に必要となる手数料は以下の通りです。
・定款認証手数料 :50,000円
・収入印紙 :40,000円分(ただし電子定款の場合は不要)
・謄本手数料 :約2,000円(定款1通につき250円かかり、枚数によって異なります。)
定款認証での提出書類
定款認証の際に提出する書類は以下の通りです。
・定款 3部
うち1部は公証役場の控えとなり、2部が戻ってきます。
そのうち1部が会社保管用、もう1部が登記申請用となります。
・発起人全員の印鑑証明書 各1部ずつ
この印鑑登録証明書は、発行後3か月以内のものに限られます。
法務局で登記申請を行う
資本金を銀行口座に振り込む
公証役場で定款の認証を受けた後は、資本金を銀行口座に振り込みます。
資本金の振り込みの際の注意点は以下の3点です。
定款認証の後に行う
会社法の定めにより、定款認証を受けた日よりも後の日付に資本金の振り込みを行うようにしてください。(同日は可)
通帳のある銀行口座にする
資本金の振り込みを行う口座ですが、会社設立前なので当然ながら法人口座がありません。
そのため発起人の代表者(代表取締役になる人)の名義の個人口座となります。
この資本金の振り込みを証明する書類を作成する必要がありますが、通帳のコピーが必要となるため、銀行等ではなく通帳のある銀行口座にしてください。
発起人名義の振り込みにする
発起人の氏名と振込金額が分かるようにする必要があるため、必ず発起人名義で振り込んでもらうようにします。
発起人からお金を預かって、口座への預け入れを行うのはNGです。
以上のような注意点があります。
発起人が1名の場合、つまり資本金を用意する人が自分だけの場合は、自分の銀行口座に自分で振り込むことになります。
その場合は、残高が資本金の金額と一致するように振り込むのではなく、資本金の金額を振り込む必要があります。(振り込む前の残高は無視する、ということです。)
残高がある場合は、できれば事前に引き出して残高を0円にしておく、もしくは口座を新規開設すると良いと思います。
払込証明書を作成する
資本金の振り込みが完了したら、次は払込証明書を作成します。
まずは払込証明書に添付する資本金の振り込みを行った銀行口座の通帳をコピーします。
コピーが必要となるのは、以下3ページです。
・表紙
・表紙裏
・資本金の振り込み内容が記帳されているページ
「表紙」と「表紙裏」で、金融機関名・支店名・口座番号・口座名義などを確認します。
コピーは拡大縮小などを行わず、原寸大で行ってください。
次に払込証明書の作成ですが、払込証明書に記載する必要がある項目は以下の7項目となります。
・払込があった金額の総額
・払込があった株数
・1株の払込金額
・日付(資本金が振り込まれた最も遅い日以降の日付)
・本店所在地
・会社名(商号)
・代表取締役氏名・代表者印
会社の代表者印は、最後の代表取締役氏名の右側と、払込証明書の左上にも押印します。払込証明書の左上の押印は捨印です。
作成した払込証明書を表紙(一番上)にして、その下に通帳のコピーと合わせて、左側をホチキスで綴じます。
そして各ページの境目にも代表者印を押印します。ちなみにこれを契印といいます。
(1ページ目の裏と2ページ目の表の境目、以下同様です。)
法務局で登記申請を行う
資本金の振り込みと払込証明書の作成が完了したら、法務局で会社設立の登記申請を行います。
本店所在地を管轄する法務局で登記申請を行うようにしてください。
法務局の管轄案内のページはこちらから確認できますので、ご参考になさってください。
法務局での提出書類
会社設立の登記申請の際に提出する書類は以下の通りです。
・定款
公証役場で認証を受けた定款を1部提出します。
・払込証明書
資本金の払込証明書を提出します。
・登記申請書
法務局で定められた様式に則って設立登記申請書を作成します。
法務局のホームページに様式のサンプルが掲載されていますので、こちらを参考にすると良いでしょう。
ちなみに、取締役会設置会社と取締役会を設置しない会社で様式が少し異なりますのでご注意ください。
・登録免許税の収入印紙を貼付したA4用紙
登録免許税は、会社設立登記の際にかかる税金です。
金額は、以下のいずれかの大きい金額となります。
・資本金の金額×0.7%
・15万円
つまり、資本金が「21,428,571円」より少ない金額の場合は、一律15万円となります。
登録免許税は現金ではなく、収入印紙で納めます。
納める金額分の収入印紙を購入して、A4のコピー用紙で構いませんので、そちらに貼り付けます。
・取締役就任承諾書
こちらは取締役の人数分必要になります。
取締役就任承諾書のサンプルは、上述の商業・法人登記の申請書様式の中に含まれています。
・代表取締役就任承諾書
こちらは、取締役が1名の場合は、自動的にその取締役が代表取締役も兼任することになりますので不要です。
取締役が2名以上の場合、代表取締役になる方は先ほどの「取締役就任承諾書」と、この「代表取締役就任承諾書」がそれぞれ必要となります。
・監査役就任承諾書
監査役を設置しない場合は不要です。
ちなみに取締役会設置会社の場合は、1名以上の監査役が必要となります。
・取締役全員の印鑑証明書
上述の「取締役就任承諾書」と併せて、取締役全員分の印鑑証明書が必要となります。
ただし、取締役会設置会社の場合は、代表取締役の印鑑証明書のみで問題ありません。
・登記事項を保存したCD-R
登記事項を記載したテキストファイルを作成し、そのファイルをCD-Rに保存します。
登記事項の内容のサンプルは、以下のページで確認できますので参考にしてください。
なお提出するCD-Rについては細かい注意点がありますので、以下のページを確認するようにしてください。
商業・法人登記申請における登記すべき事項を記録した電磁的記録媒体の提出について
ファイルを保存したCD-Rには、会社名を書いたシールを貼付するようにしましょう。
・発起人の決定書
こちらは、本店所在地が発起人全員の同意のもと決定したことを証明する書類になります。
定款で本店所在地を番地まで記載していて、かつ電子公告以外の公告方法を選択している場合は不要です。
・資本金の額の計上に関する証明書
資本金として計上した金額に間違いがないかを証明する書類です。
資本金として出資される財産が金銭のみの場合は不要です。
金銭以外(例えば土地など)を資本金として出資する場合、こちらの証明書が必要になります。
この証明書のサンプルも、上述の商業・法人登記の申請書様式の中に含まれています。
以上の書類を法務局に提出することで、会社設立の登記申請を行いますが、補足として以下の3点があります。
印鑑届出書について
今後、様々な手続きの際に、代表者印の印鑑証明書が必要になります。
そこで代表者印を登録するために「印鑑届出書」を法務局に提出しておきましょう。
会社設立日について
会社の設立日は自由に選べるわけではなく、法務局が登記申請の書類を受理した日と決まっています。
設立日にこだわりがある場合は、その日に法務局へ行くようにしましょう。
郵送でも登記申請を行うことができますが、その場合、希望する会社設立日にならない可能性があります。
申請書の内容に不備があった場合について
登記申請の際に提出した書類は、内容に不備がないかどうかチェックされます。
万が一不備があった場合は、補正(修正)の指示が後日届きますので、法務局を再度訪問して補正することになります。
その際、代表者印を忘れないように持参しましょう。
また不備が多すぎて、一から書類を作成し直した方が早いという場合は、一度登記申請を取り下げて、再度申請するようにします。
(もちろん、そうならないように事前にしっかりと確認し、提出書類を準備しましょう。)
不備がなければ申請が完了し、会社が設立できたことになります。
以上が、会社設立の流れとなります。
ただ会社は設立して終わりではなく、定款に記載した事業を行うことが目的です。
また会社を設立した後も、法務局で登記簿謄本を取得し、各役所へ必要書類を提出する必要があります。
会社設立の流れ まとめ
会社設立の流れ・手続きには、大きくは以下の2つがありました。
①公証役場で定款の認証を受ける。
②法務局で登記申請を行う。
それぞれ作成したり提出する書類がありますし、記載しなければならない事項も細かく決められていますので、事前によく確認して間違いのないように作成するようにしましょう。
一度流れや全体像を掴んでしまえば、それほど難しくありませんので、焦らずに取り組んでみてください。
