
会社経営者
茂呂史生 この人を知らない人はこちらのプロフィールを参考にしてください。
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株式会社を設立する際、公証役場で定款の認証を受ける必要があります。
定款認証にかかる費用の中で収入印紙代として40,000円がかかりますが、電子定款認証の場合はこの費用が不要になります。
さて、その「電子定款認証」とはいったい何でしょうか?
作り方の流れや、行政書士に電子定款認証を代行してもらう場合の費用などについてまとめてみました。

会社を設立するのには必ず通らなければいけないので、しっかり覚えておくことをお勧めします。
電子定款を作成するために必要なもの
電子定款を作成するに当たって必要な機器やソフトがいくつかあります。
そもそも電子定款は、定款をPDFで作成したものですが、代表者が作成したということが証明できなければなりません。
その証明を「電子証明」という形で行うため、それらの作成・証明を行う必要があります。
マイナンバーカード
以前までは住民基本台帳カードが必要だったのですが、マイナンバー制度が導入されたため住民基本台帳カードの発行は中止となりました。
ただ既に住民基本台帳カードを発行している方は引き続き利用可能ですので、そちらを使用すればOKです。
もし住民基本台帳カードをお持ちでない方は、マイナンバーカードを発行してください。
ちなみにマイナンバーカードは、顔写真が表示されたプラスチック製のICチップ付きカードです。
マイナンバー制が導入された際に郵送されてきた「通知カード」ではなく、交付申請を行うことで発行されるカードですのでご注意ください。
電子定款認証に電子証明書を付与するためにマイナンバーカードを利用します。
ICカードリーダライタ
マイナンバーカードに内蔵されているICチップの電子証明書を読み込んで、電子定款のPDFファイルに電子証明書を付与するために、ICカードリーダライタが必要となります。
公的個人認証サービスに対応している機器とそうでない機器がありますので、対応した機器を使用してください。
対応したICカードリーダライタの一覧は、以下のページから確認できます。
ICカードリーダライタのご用意 | 公的個人認証サービス ポータルサイト
また平成29年1月より、ICカードリーダライタの代わりにスマートフォンのリーダライタモードで、公的個人認証サービスを利用することが可能になりました。
対応機種や利用方法についても、上記のページに記載がありますので参考にしてください。
利用者クライアントソフト
マイナンバーカードに記録されている電子証明書を利用する際に必要となるソフトウェアをインストールします。
以下のページからソフトウェアをダウンロードして、インストールしてください。
利用者クライアントソフトのダウンロード | 公的個人認証サービス ポータルサイト
Android版のみとなりますが、スマートフォン用のアプリも提供されていますので、お使いのスマートフォンが対応機種の場合はスマホアプリでも良いでしょう。
上記のページからアプリをダウンロードしてインストールしてください。
Adobe Acrobat
電子定款ファイルをPDFで作成することになりますが、作成の際にはWordで作成して、それをPDFに変換するという流れになります。
このPDF変換の際に必要なソフトウェアが「Adobe Acrobat」です。
WordファイルをPDFに変換するだけであれば、Adobe Acrobat は必要ありませんが、電子署名を行うに当たり Adobe Acrobat で変換したPDFである必要があります。
Adobe Acrobat を利用しない電子署名付与の方法もあるようですが、情報が少なく実際の作業が大変ですし、万が一正しく署名が付与されていなかった場合、一からやり直しとなりますのでおすすめしません。
Adobe Acrobat は有料のソフトウェアですが、無料体験版であれば14日間無料で利用できるようです。
Adobe Acrobat無料体験版をダウンロード | Acrobat Pro DC
PDF署名プラグイン
PDFファイルに電子署名を行うために必要なソフトウェアが「PDF署名プラグインソフト」です。
こちらは登記・供託オンライン申請システムのサイトからダウンロードできます。
電子定款の作り方の流れ
必要な機器やソフトウェアの準備ができたら、いよいよ電子定款の作成を行います。
電子定款の作成の流れは以下の通りです。
Wordで定款を作成する
Wordなどの文書作成ソフトで定款を作成します。
定款の作成については、こちらの記事でも触れていますのでご覧ください。
会社設立の方法と流れ!手続きと費用・作成書類など登記・申請方法まとめ
定款を作成し終えたら、最終的には公証役場に提出して認証してもらう必要があります。
万が一、作成した定款の内容に不備があった場合は、再度一から作成し直す必要がありますので、提出前に一度確認してもらうと良いでしょう。所在地を管轄する公証役場に連絡して、提出前に定款を確認してもらうように依頼してください。
確認の方法は、実際に持参したりFAXやメールで送付するなど、公証役場によって異なりますので、聞いてみてください。
Adobe Acrobatで作成した定款をPDFに変換する
Wordで作成した定款をPDFファイルに変換します。
Wordで定款ファイルを開いて、保存形式でPDFを指定すればPDFファイルとして保存できます。
PDF署名プラグインで電子署名を付与する
次に、電子証明書を定款PDFファイルに付与します。
流れとしては、以下の通りとなります。
①マイナンバーカードをICカードリーダライタで読み取り、利用者クライアントソフトで電子証明書をファイルとして保存する。
②PDF署名プラグインを使用して、定款に電子証明書を付与する。
それぞれの詳細な方法については、以下のマニュアルを参考にしてください。
公的個人認証サービス 利用者クライアントソフトの利用方法(Windows をご利用の方)
PDFファイルで電子署名を利用する方法(Acrobat DC / Acrobat Reader DC)

大変に思うかもしれませんが、定款は会社設立後に使用する頻度が高いです。電子化しておくと何かと便利ですので頑張ってやっちゃってください。
電子定款認証の費用について(行政書士の代行費用含む)
それでは電子定款認証にかかる費用を見て行きます。
定款認証手数料
定款認証に必要な手数料は50,000円となります。
こちらは電子定款でなくても費用は同じです。
ICカードリーダライタ
対象機種の一覧で価格を調べてみると分かりますが、だいたい2,000~5,000円程度で購入できるようです。
Adobe Acrobat
PDFファイルに変換するためのAdobe Acrobatですが、これには2種類あり、価格はそれぞれ以下の通りです。
Acrobat Pro DC
年間プラン 1,580円/月
月々プラン 2,680円/月
Acrobat Standard DC
年間プラン 1,380円/月
月々プラン 2,480円/月
ただ上述の通り無料体験版がありますので、一度使用するだけであれば無料体験版で良いと思います。
行政書士電子定款認証代行費用
定款の作成を専門家にお願いする場合は、行政書士の先生にお願いすることになります。
これは電子定款でもそうでない場合でも同じです。
定款認証の代行費用はもちろんさまざまあると思いますが、4,000~5,000円程度となります。
また、会社設立後の税理士顧問契約を結ぶことを前提に、定款認証や設立登記申請まで含めて無料で行ってくれるところもありますので調べてみてください。
電子定款認証に必要な費用は以上です。
通常の定款認証と比べて収入印紙40,000円がかかりません。
その代わり、ICカードリーダライタやAdobe Acrobatを購入する必要があります。
ただそれらを含めても30,000円近くは費用を抑えることができる計算になります。
定款だけでなく、いろいろな書類もWordやExcelなど、パソコンで作成することが当たり前の世の中になってきていますので、電子定款認証の手続きも経験しておくと良いかも知れませんね。
